俺様御曹司は逃がさない

「ちゃんちゃらおかしいわ。この俺が特定の女なんて作るわけがねえーだろ、馬鹿が。ナメんな」

「いや、あんたさ、クズを露呈してるだけだよ?ソレ」

「はなっから隠す気も更々ねーよ」

「少しは隠せ。破廉恥魔王」


────── なんか、いつも通りのやり取りに戻ってる。

いつもはこういうやり取りがイライラして、うざくて、鬱陶しくて、本当にストレスでしかなったけど……今はこれが“心地いい”……そう思ってしまう。


「で?相手は誰だ」


地を這うような低い声、そして光を宿していない死んだ瞳。

言わずとも、九条が何を考えているか分かってしまう自分が嫌になる。


────── “絶対に殺るマン”……そうなっているに違いない。


「言えない」

「あ?言えよ」

「言えない」

「そいつのこと庇おうってか?」


庇うとか、庇わないとかそういう話じゃない。


「なんかしっくり来ない」

「あ?」

「なんか違うような気がしてならないの。あたしの“勘”っていうか」

「お前の“勘”なんてクソほど宛にならん。却下」

「なんでよ!!」

「まぁいい。お前も連れてく」


────── そして、連れて来られたのは……全男子生徒が集まっている体育館。