俺様御曹司は逃がさない

「なんだって聞いてんだよ」

「子猫に引っ掻かれて」

「あ?どう見てもキスマークだろ」

「ち、違っ……」

「ガッツリついてんだよ、うなじに」

「そ、そんなっ……」

「チッ。そういうことかよ」


あたしの首襟から手をパシッと払って、一瞬見えたこめかみには青筋がバキバキに這っていた。

九条はスマホを取り出して、誰かに電話をかけながら足早に去っていく。


「く、九……条……待って……」


〖上杉。全生徒集めろ、男だけでいい。あ?今すぐに決まってんだろ。さっさとしろ、ちんたらすんな〗


ヤバいことが起こる……電話の内容でそう思った。


「ま、待って……待って……九条!!」


あたしの声が届いているのか、いないのかさえ分からない。 

何も反応せず、ただ先を進んでいく九条。

あたしは走って九条を追いかけた。


「待って、九条……待ってよ、待ってってば!!」


九条の腕を掴んだけど、振り払われてしまった。きっと普通に止める……なんて無理。そんなんじゃ絶対に止まってくれない。


「お願い、待って……柊弥!!」


ギュッと後ろから力強く九条を抱き締めた。

すると、ピタッと動きが止まる。