俺様御曹司は逃がさない

「いい加減にしろはこっちのセリフよ!!コソコソしてたのはあんたの方じゃん!!」

「あ?なに言ってんだよ」

「しらばっくれんな!!最近おかしかったのはあんたでしょ。ま、おかしい理由も何もかも、もう分かってるからいちいち説明とか要らないし、聞きたくもないわ」

「は?お前、マジでなに言ってんの?意味分かんねーわ」


なにその態度。

この女面倒くさい的な感じ?

だったら絡んで来ないでよ。

彼女が居るんでしょ?

必要以上にあたしへ絡まないで。必要以上にあたしを詮索しないで。



────── もう……ほっといてよ。



「あんたって意外と分かりやすい男なんだね」


あからさまだもん。彼女ができたからって。そういうタイプだったんだ、この人は。

もうこの言い合いが不毛すぎて、あたしは去ろうと九条に背を向けて歩き始めた。

すると、首襟をガシッと掴まれて瞬時にヤバいっ!!と思ったあたしは慌てて首を隠した。

でも、よくよく考えれば真後ろに居る九条に、このキスマークが見えるはずがない。


「お前……なんだこれ」


低く、震えるような声の九条。


「これは……」


振り向くと……“冷酷”……この言葉が一番しっくりくる表情をしている。