俺様御曹司は逃がさない

────── どうしてこんなにも胸が苦しいんだろう。


優しくされて、助けられて、守られて、キスされて……きっとあたしは、何か勘違いをしていたのかもしれない。

全ては九条の気まぐれ。


「──── 馬鹿馬鹿しい」


VIPルームへ戻る途中、待ち伏せするように宗次郎が立っていた。


「まだキスマーク消えてない?」


ニコッと微笑んでありえない発言をする宗次郎に、心底うんざりしてイラッとした。


「ねえ、あたし達って本当にっ……」

「あの状況を見て何もなかった……はさすがに脳内お花畑すぎるでしょ」

「だってっ……ちょっ!?」

「ん?『だって』……なに?」


あの日以降、宗次郎の距離感がかなりバグってる。というより、毎日キスマークを確認しようとして、あたしの首元に触れてくるようになった。


「いい加減にして」

「まだ残ってるね~」

「はっきり言うけど、あたし信じてないから。だって、痛くもなければ何ともなかったし、それに……今、宗次郎に触れられても何も感じない」


・・・・何より、あたしへ触れようとする宗次郎に、少しばかりの“戸惑い”みたいなものを感じる。

あたしに触れていいのか、触れてはいけないのか……迷っているような感じ。