俺様御曹司は逃がさない

「拓人……っ、この子猫……どうしよう……っ。あたしっ、助けたくて……でもっ、無責任かもしれないって思ったら……怖くなって……」

「そっか。大丈夫……俺も一緒に行く」

「ありがとう」

「うん」


拓人と動物病院の中に入って、子猫の診察が終わって外に出ると、梨花が待っててくれた。

子猫はいたって健康。足は捻挫したみたいで、直に治るとのこと。

あたし達はすぐそこの公園へ行き、ベンチに腰かけた。

動物病院で借りたキャリーケースの中で眠っている子猫。

梨花が引っ掻き傷に消毒液をかけて、優しく拭いてくれている。


「この子猫、俺んちで飼うわ」

「いや、そんな急に……」 

「実は親が猫を飼いたいって前々から言ってて、迎える準備はもう完璧にしてあってさ。だから、ぶっちゃけ急とかではない。つーか、むしろタイミング良かったわ。今週末ペットショップとか保護施設行くとか行ってたし。俺がこの子猫連れてっていいか?」

「舞。いいんじゃない?拓人ん家がそういう予定だったならさ。それに、舞だって会いに行けるし」

「……なら、おじさんとおばさんに挨拶しに行く」

「おう。んじゃ、行くか」

「私も行こうかな~」

「舞も梨花も飯食ってけよ」