俺様御曹司は逃がさない

「……猫がいたの」

「「……猫?」」

「子猫が足を怪我しているのか、引きずって歩いてて……追いかけてたら……」

「凛。生きとし生けるもの、なるようにしかならない。それで命が尽きようとも、それがその猫の寿命だった……それだけのことだよ。第一、助けてどうする。家では飼えないだろ?手を差し伸べるのが優しさとは限らない。中途半端のことをする方が酷な場合だってある」


西園寺家に仕えている人達がズラッと現れて、伸びきった男達とその車を回収していった。


「そんなこと……分かってるわよ」


凛様はきっと根が優しいんだと思う。どうにかしてあげたいって気持ちが先行したんだろうな。


「舞ちゃん、すまないね。送っていくよ」

「……ああ、いえ。大丈夫です!!あの……すぐそこに友達待たせてるんで!!」

「そうか。それならお友達も送っていくよ」

「いえいえ、大丈夫です!!お心遣いありがとうございます」

「なら、あまり遅くならないようにするんだよ?また明日ね」

「はい。お疲れ様でした」

「……少しは役に立つのね。今日はお礼を言ってあげなくもないわ」


相変わらずだなーー。


ま、こういうところが可愛いって思う男もたくさん居るんだろうけど。実際に可愛いし。