俺様御曹司は逃がさない

あたしは慌ててベットから降りて着替えた。


「舞」


着替え終えたタイミングで名前を呼ばれた……もちろん宗次郎に。


「あ、いやっ、あ、あのっ、これは違う……よね。ハハハッ……ね、違うよね?」


宗次郎に背を向けて、振り向くことができない。


「違うって何が?」

「何がって……この状況に決まってるじゃん。違うよね?何も……何もあるわけがないよね?だってあたし達っ……」

「今時、友達でもヤる時はヤるでしょ。同意の上なら尚更ね~。舞、覚えてないの?」

「……あ、あたし達って……」

「ま、見ての通りじゃない?」


・・・・見ての通り……?


状況証拠は揃いに揃っている……ということは、そういうことなの……?

あたし……宗次郎と……シちゃったってこと?


「ご、ごめん……あたし……帰る……っ!!」


部屋を飛び出して、がむしゃらに走った。

人混みを掻き分けるように走って、過ちを無かったことにしたくて、ただがむしゃらに……。


「嫌っ、触んないで!!離しなさいよ!!」


その聞き慣れた声に、スッと我に返った。

走っていた足のスピードを徐々に緩めて、辺りを見渡しながらピタッと止めた。