俺様御曹司は逃がさない



「……っ、頭いったい……」


ていうか、あたし……いつの間に寝てた?

眠い目を擦りながら、何気なく隣を見てみた。


・・・・・・ん?


「は?」


いや、いやいや……待って。

なんであたしの隣に宗次郎が寝てるの!?

そして、あたしは違和感に気付く。


────── なにも……着てない……。
  
隣で寝ている宗次郎もおそらく何も着ていない。


「……ど、どういうこと……?……記憶が……ない……」


全く記憶がない。

ただ頭が割れるほど痛いだけ。

体も痛くない……お腹も痛くない……どこも痛くはない。

処女なのに初体験がどこも痛くないってことあるのかな。いや、どこかしら痛いはずでしょ。どこも痛くないなんておかしい。

ということは、何もないってことだよね。

未遂で……終わった的な……ね。

下腹部を擦りながら、あたし達が過ちを犯しているわけがないと……そう自分に言い聞かせていた。

バッとベッドから起き上がって周りを見渡す。



────── え……。



「……う、嘘……でしょ……」


使用済みっぽいアレが床に落ちていた。

いや、ナイでしょ。ナイナイ。ありえない。だって……どこも痛くないもん。