俺様御曹司は逃がさない

「こんな時期にこんなズブ濡れのまま放置してみ?ほぼ確で風邪引くって。文化祭前でピリついてんのに、サーバントである俺達が同時に体調を拗らせた……なんてヤバいだろ。あいつとあの人グチグチ言われるのがオチ」

「よし、行こう!!」


こいつ……マジで大丈夫かよ。危機管理なってなさすぎて逆に心配になるわ。


────── ビジネスホテルに着いて、舞がシャワーを浴びている間に準備を進める。


「お先でした~」

「うん。はい、これ。体の中も温めた方がいいよ」

「気が利くね~。これがモテ男の秘訣?」

「さぁ?」

「いただきまーす」


俺が淹れた紅茶をなんの疑いもなく飲み干した舞。

────── そう……睡眠薬入りの紅茶をね。

とはいえ、小1時間くらいの効果しかない睡眠薬にしておいた。

でも、効き目は抜群。


「あれ……なんか……急に……」

「大丈夫?」

「ご……めん……もう……」

「そっか。おやすみ」


パタリとソファーに倒れ込んだ舞を抱き上げ、ベッドに移動させた。

そして、スマホを手に取り電話をかける。


〖入って来ていいですよ〗

〖了解〗


電話を切ってすぐ部屋に入ってきたのは、あいつにフラれて根に持っている女。