俺様御曹司は逃がさない

ま、それでも俺派って奴も少なからずは居る。だから俺は、そいつ等を使って情報収集や諸々をやっているってわけ。


────── いた。


「えーっと、後は何がいるんだっけ。あれ?もう全部買い揃ってない?ねぇ、もう全部揃ってるよー。……おーい、宗次郎聞いてる?」

「あれ、あの人じゃね?」

「ん?あの人?」


俺が指差す方へ向いた舞。

すると、ピタっと動きが止まった。


「隣の女……あれ、今あの人と熱愛が騒がれてるモデルじゃない?」

「…………ふーん。そうなの?へぇ、あたしそういうの疎いから知らなかった。ま、どうでもよくない?」


チラッと舞を見てみると、険しい顔をしていた。どこか悲しげに不安げな感じで、少し焦っているようにも見えた。口ではあーだこーだ言っても、何だかんだあの人のことが気になってんだな。


「凸る?」

「は?馬鹿じゃないの?帰ろー」


その時だった。

ザァァーー!!

バケツを引っくり返したような雨が降り注ぐ。

どうやら天気も俺の味方をしてくれているらしい。これで予定通り事を進められそうだな。


「うわっ!?ちょ、ヤバくない!?」

「買った物が濡れるのマズいな」

「だよね。どうする?コンビニとかで雨宿りする?」

「いや、そこのビジホでよくね?」

「は?いや、何を言ってっ……」