俺様御曹司は逃がさない

「はっはーん。そんなこと言って1人で買い出しするのが寂しかったんでしょ~?素直にそう言いなさいよ~」

「あーーうん。もうそれでいいや」


俺の隣で無邪気に笑う舞。

今から何が起こるなんて知りもしないで。

──── 罪悪感。

舞が笑うたびに罪悪感が押し寄せて来る。

やめるか……?

いや、あいつがあの人に捨てられて、無様に堕ちていく姿を拝まなきゃ割に合わねえよな。

あいつのせいで、あいつが無駄に頑張るから……俺が“上杉家の恥さらし”になっちまったじゃねーかよ。

どいつもこいつも『恭次郎、恭次郎』『恭次郎を見習いなさい』『恭次郎みたいになりなさい』

うっせぇんだよ。

・・・・俺はあいつとは違う。


「どうしたー?我が同期よ」

「いや?別に」

「悩みがあるなら聞いてやらんこともないよ」

「舞に愚痴るほど落ちぶれたくない」

「言い方気をつけて」

「ごめんごめーん」


俺のことは許さなくていいよ。

許して欲しいとも思ってない。

悪いな、同期……俺の為に利用されてくれ。

───── えっと、情報によるとこの辺にあの人が居るはず。


・・・・上杉家は俺派、あいつ派に分かれていて、圧倒的にあいつ派が大多数を占めている。そりゃそうだわなって感じだけど。