俺様御曹司は逃がさない

ただ、あいつへの嫌がらせに利用させてもらうよ。

ピコンッとスマホが鳴って確認すると、舞からメッセージが届いた。


《もう裏門行っちゃうけどいいー?》

《おけー。俺も今から行く》

《はいはーい》


罪悪感は全く無い……と言えば嘘になる。

舞に関しては尚更。

舞は完全に巻き込まれた側で、本来ここに居るはずのない人間。

でも、舞が居なかったら俺はあいつへ嫌がらせをしよう……なんて思考にもならなかった。

良くも悪くも舞の存在が全てを左右した……てことか。


「……とことん惨めな女」


裏門に行くと、ポーッと空を眺めている舞がいた。


「どーしたの?」

「嵐が……来る」


すんごい中二病クサイのは気のせいか。


「この後、雨予報だからねー」

「ええ、マジかー。傘持ってきてなーい」

「折り畳み傘くらい常備しとけば?サーバントなんだし」

「それもそうだねー。で、宗次郎は持ってるの?」

「持ってない」

「持ってないんかい」


そんなこんなで街中までやって来て、適当に文化祭の買い出しをした。


「ていうか、この買い出しってあたし必要?」

「んーー。別に?」

「だよね……って、オイ。なんの為にっ……」

「まぁ、いいじゃん?たまには同期で親睦深めても」