俺様御曹司は逃がさない

『キスをしたいと思えるのは』……ってさ、キス以外はお前以外でも全っ然イケるわ~!!って意味じゃない?

ねえ、それってどうなの?

ただの純度100%のクズでしかなくない?


・・・・おい、胸の高鳴りを返せ。


少しでもあんたに胸キュンしてしまった、あたしのなけなしの乙女心を今すぐ返せ。


「クズを露呈しただけじゃん」

「あ?」

「ハイハイ、もう何だっていいですー。キスはあたしだけ、それ以外は他で事足りてますってやつですかー?クズすぎてクスりとも笑えませんわ」

「はぁぁ……。別にそういうことじゃねーだろ」


いや、なんであんたが呆れてるの?違くない?それは絶対に違くない!?


「現に!!そういうことでしょうが!!」

「………………いや?」

「なんっの“間”だよ!!」

「まっ、何だっていいんだろ?そう朝っぱらからカッカすんなって~」


ヘラヘラしながらあたしの肩を組んできた九条。


「触んな!!重い!!クズめ!!」

「おいおいー。マスターに向かってなんつー口の利き方してんだよ」

「うっさい!!こういう時に都合よく“マスター”であることを振りかざすな!!」