俺様御曹司は逃がさない

────── あ、やべ。


こりゃ死亡フラグ立ってんな。

あたしは今できる最大限の笑みを浮かべて、何事も無かったことにしようと思う。

口角を上げまくって、目を瞑ってしまうほど頬肉も上げた。

これぞ、満面の笑み!!


「君」

「はひっ!!」


不意に話しかけられて思いっきり噛んだ。


「すまなかった」

「あ、はい…………って……え?」

「俺は勝手に君達のことを自分のことと重ねていた。俺の二の舞にならないように……と。それがせめてもの償いになるのなら……そう自分に言い聞かせて、少しでも楽になろうとした。君には酷いことを言ってしまったね。本当に申し訳ない」


頭を下げようとした九条のお父さんに私は叫んだ。


「あーー!!!!あの、頭は下げないでください。あたしは何を言われてもいいんです。でも、あたしの周りを酷く言うのは許さない……ただそれだけです。それに、どう考えても全面的にあたしに非があるのは明白です。サーバントの件も、今暴れまわったのも……不徳の致すところであります。誠に申し訳ございませんでした」


顔と太腿が引っ付くくらい頭を深く下げた……というか、深いを通り越してるわ。