俺様御曹司は逃がさない

「お転婆だねぇ、全く」

「伊達にあいつのサーバントしてないんで」

「参ったなぁ。邦一様と柊弥様がお気に召してるのがよく分かるよ」

「七瀬様!!貴女って人は何をしているんですか!!」


・・・・げ……鬼のような形相をした霧島さんが、見たことない猛ダッシュでこちらへ向かって来ている。


「なんの騒ぎだ」


その一声でシーンと静まり返った。

階段から降りてきて、あたしの近くまで来た九条のお父さん。


「何をしている」

「見て分からないですか」

「あ?」

「あなたに会いに来て、ひっちゃかめっちゃかになってるんですよ」

「七瀬ちゃん!!マジで!!いい加減にしろって!!」

「ちょっと、霧島さん!!離して!!」

「マジで馬鹿か!!お前!!」

「九条みたいなこと言わないでよ!!」

「隼人様。誠に申し訳ございません。今後、このようなことは二度とないよう躾ますので。どうか、ご慈悲を…」


あたしが動かないようガッシリ捕まえている霧島さん。そして、そのまま引きずられる。


「勘違いしないで。あたしは侮辱しているわけでも、蔑んでるわけでない。それを大前提として言わせてもらう」

「おいっ!!マジで黙ってくれ!!」