俺様御曹司は逃がさない

「あの、九条様のお父様にお会いしたくて」

「アポイントは」

「ない……です」

「いくら柊弥様のサーバントとはいえ、アポイントがないのであれば通すわけにはいけません」


すると、結構なスピードで近付いてくる車の音が聞こえる。間違えなく霧島さんだ。


「あーー!!!!あんなところに今にもポロリしちゃいそうなナイスバディなお姉さんがフラフラしてるーー!!!!」

「「なに!?」」


見事に引っ掛かった門番を潜り抜けて、バンッ!!とドアを開けた。


「お邪魔しますっ!!」

「こら!!」

「待ちなさい!!」


大騒ぎになって、ありとあらゆる場所から次々と警備員が出てくる。

ひょいっ、ひょいっ、ひょいっと躱して、九条のお父さんが居るであろう部屋へ向かう。


「止まれ!!何者だ!!貴様!!」

「人に聞く前にまず自分から名乗りなさい!!」

「あ、俺は瀬戸です」

「あたしは七瀬です」

「……じゃなぁぁい!!止まらないと撃つぞ!!」


────── えっと……ここ日本ですよね?


「銃刀法違反!!」

「九条家は許可を得ている!!」

「そうですか!!すみません!!見逃して!!」

「おう……じゃねーーよ!!」

「あ、それ……弾詰まり起こしてません?」

「そうか?」

「ほら、ちょっと貸してみてください。直すんで」

「お、そうか」