俺様御曹司は逃がさない

罪悪感、後悔、未練……苦しんで、悔やんでも悔やみきれなくて……。

だから、九条のお父さんは自分のような思いを九条にはさせたくなくて、あたしにも幼馴染みさんのような思いをさせたくなくて、あたし達を遠ざけようとしてる。

二の舞にならないように……と。

そういうことでしょ?

・・・・なんだ、とっても優しい父親じゃん。

九条の不器用な優しさはお父さん似だ……というか、九条は全体的にお父さん似なんだな。


「やっぱ、このままじゃダメだ……」

「え?何か言いましたか?」

「いや、何でもないです」


──── チャンスは一度きり。


九条家の敷地内に入る際、門のセキュリティを通過する時、車のスピードが徐行になる。それを狙うしかない。

あたしはさりげなく窓を全開に開けた。

門を通過してスピードを上げる直前、あたしは窓から外へ飛び降りた。


「なっ、七瀬様!!!!」

「ごめん!!霧島さん!!」


慌てふためく霧島さんをスルーして、取っ捕まる前に先を急いだ。


「こらっ!!お前!!ここで何をしている!!」

「おい、待て。天馬の制服にそのネックレス……。柊弥様のサーバントか?」


この前は気にしてなかったけど、玄関付近に門番的な人が居るのね……ここ。