俺様御曹司は逃がさない

迫ってくる霧島を押し退けて、車の中に入った。


「いっ、いっ、今すぐ病院へ!!!!」

「いや、大したことねーし」

「いけません!!!!今すぐ病院へ!!!!」

「大袈裟だっつーの……ただの不整脈だわ」

「ふっ、ふっ!!不整脈ぅぅーー!?」

「だぁから、さっきからうるせぇっつーの!!」

「すぅーー、ふぅーーー。申し訳ございません。少々取り乱しました」

「何でもいいからさっさと帰ってくんね?ダルい」

「承知致しました」


ようやく車を走らせ始めた霧島。

こいつ、俺の体調が少しでも悪いもんなら、地球滅亡の危機くらいのレベルで大騒ぎしやがるからな。

・・・・ま、それだけ俺に重きを置いているってことだろうけど。

ぶっちゃけブラコン感あるよな、霧島。きっしょ。


「不整脈はどのような時に?」

「ああ……あいつと居る時だな」

「あいつ……とは?」 

「あ?七瀬に決まってんだろ。イライラしすぎてストレスなんだろうな。そりゃ不整脈も起こるっつーの」

「…………」


急に何も言わなくなった霧島を不審に思い、チラッとルームミラーを見てみると、何故かニタニタしてやがる。