俺様御曹司は逃がさない

なんだろうな……好奇心ってやつか?

七瀬とのキスはどんな感触がすんのか、どんな味がすんのか……とか考えて、無性にムラムラしては適当に女を抱く日々。


「どうかしてんだろ……マジで」


あいつと出会ってから、あいつのことで頭がいっぱいで、俺の退屈だった日常を、俺の常識を、ことごとくブッ壊して覆して、俺の中心はいつの間にか……あいつになっていた。

あいつが喜ぶ姿も、怒こる姿も、哀しむ姿も、楽しむ姿も……何もかも全て、全部……俺だけのモノだって欲が出る。


「俺はあいつのこと……何だと思ってんだ……?」


“ただの暇潰し”、“ただのおもちゃ”、“ただのサーバント”……?いや、どれもしっくりこねぇ。

胸につっかえてるこの感じ、コレの正体がイマイチ分からん。

胸にも喉の奥にもつっかえて、吐き出そうとしても吐き出せねえ。

あいつのことを考えると、胸がグッと苦しくなって、時々胸が高鳴っては心拍数がガンガン上がる。


「…………そうか」


俺は…………病気だな。不整脈だろ、これ。


「お帰りなさいませ」

「霧島」

「はい」

「俺、病気かもしんねえわ」

「そうですか…………そうですかぁ!?なっ、なんと!?びょ、病気!?どっ、どっ、どこか具合でも悪いのですか!?」

「いや、落ち着けよ。つーか、近ぇし」