俺様御曹司は逃がさない

─────── バシンッ!!


頬に強烈な衝撃と痛みが走って我に返った。


「七……瀬……」


俺の中にいたのは、肩が上下するほど息を切らして、頬を真っ赤にしながら、目から涙が溢れそうになっている七瀬。


・・・・俺、こいつに何をした?


「はぁっ……はぁっ……っ、最っ低!!」

「わ、悪い」


いや、なに謝ってんだ?俺。


「あんたは誰でもいいのかもしれない。でも、あたしは違うのっ!!」

「いや、待て……マジでなにがっ……」

「あたしを他の女と一緒にしないで!!!!」


────── 俺がお前を他の女と同じ括りにしたことなんて、一度だってねえーよ。


過呼吸になるんじゃねーかってくらい、息苦しそうにしている七瀬を見て正直焦った。


「七瀬、落ち着け。ゆっくり息吸って吐け」

「どっか行って!!」

「おい、七瀬っ……」

「あんたの顔なんてもう見たくない!!」


俺が悪い……それだけは分かる。

でも、何をしたのかさっぱり分からん。


「……俺はお前のこと、他の女と一緒にしたことも、他の女と変わんねぇな……なんて思ったことも、一度だってねえよ。……悪かったな、連れ呼んで来るから待ってろ」