俺様御曹司は逃がさない

頷きながら拍手する七瀬……なんだこいつ。


「つか、何様だよお前」

「いやぁ、もうブン殴っちゃうんじゃないかってヒヤヒヤしたわ」

「所構わずそんなことするわけねーだろ」

「よ~く我慢した。えらいえらい!!やればできる子だね、九条君!!この調子でブラック浅倉が出てきても、うっと堪えて我慢してくれると助かるな!!いやぁ、浅倉君は純粋に、いや、過剰に美玖のことが好きなだけなのよ。ね?だからさ、穏便に済ましてよ。ハッハッハッ~!!」


ベチンッ、ベチンッと加減なく肩を叩いてくる七瀬と、おちゃらけた態度にイラッとして壁に押し当てた。

すると、壁に押さえ付けられて俺の下でスンッと大人しくなった七瀬。


「お前、それが人に物を頼む時の態度か?あ?」

「ゴメンナサイ」

「もっと誠心誠意っつーもん見せろよ」

「ど、どうすればいいわけ?」


顔をプイッと逸らして、俺を見ようとしない七瀬。

それが無性に気に入らなくて、頬を掴んで強制的に俺の方を向かせた。


すると、恥ずかしそうに頬を染めている。

あん時の表情、震える体、肌触り……全てがフラッシュバックして、俺の中で何かがプツンッ……と切れる音がした。