俺様御曹司は逃がさない

「ごめんね?今疲れてるし、プライベートで完全にオフ中なんだ。また今度にしてくれるかな?悪いね」

「キャーー!!また今度だって~」

「やっぱかっこいいーー!!」

「また会いたいですーー!」

「いつでも会えるよ……君達の夢の中でね」

「「「「「キャーーーー!!!!」」」」」


────── アホらし。


海の家に戻ると、露骨に嫌そうな顔をする七瀬。

で、俺のもとへ接客しに来たのは七瀬の連れだった。


「久しぶり~、九条君」

「久しぶりだね。元気だった?美玖ちゃん」

「おかげさまで~」


七瀬とは真逆なタイプのブリブリ系。ま、わざと感もねーし、これが素なんだろうな。


「悪いけど、そこでしかめっ面してる七瀬さん呼んで来てくれるかな?」

「舞ちゃん九条君の接客が嫌なんだって~。んもぉ、九条君……舞ちゃんに何かした?」


七瀬の連れが俺の耳元に近付いた途端、何者かが割って入ってきた。


「すみません。僕が注文受けますね」


なんだ?このクソ陰キャ。

つーか、誰に向かってその面引っ提げてんだよ。この俺に対して敵意剥き出しとはいい度胸してんじゃねーか。

俺に歯向かうようなその目……気に入らねえ。今すぐそんな面できねえようにしてやるよ。