「あの、もう大丈夫……です」

「そ」


九条は何事も無かったかのように、あたしから離れていった。

・・・・ヤバい。不覚にも九条に慰められるとは。


────── ん?


なんだろう……この違和感は……。


「お前ん家には連絡してある。今日はもう遅いから泊まってけ。異論は認めん」

「……そうですか。それはどうもです」


なんだ?この違和感は……。

何かが違う、何かが……違う?

九条の……何かが……ん?……んん??……んん!?


「ああああーーーーー!!!!」

「んだよ、うっせぇーな」

「手!!手!!手ぇぇーー!!」

「……あ、ヤベッ」


九条の左手からガッチガチに固められていた包帯が無くなってる!?


ていうか、『あ、ヤベッ』って何よ。


「あんた……まさか……」

「ははっ。まっ、そういうこと~」


左手をヒラヒラさせて、ニヒッと笑っている九条。

まだ痛々しい感じではあるけど、普通の生活には支障がないレベルっぽそう。


「いつ抜糸したのかな?」

「ああー、いつだっけなぁ。休み前~?」


左手をヒラヒラさせて、ニヒッと笑っている九条。

まだ痛々しい感じではあるけど、普通の生活には支障がないレベルっぽそう。