俺様御曹司は逃がさない

「いいの?」

「どーぞ」

「ありがとう……。九条ってごく稀に優しいよね」

「一言余計だっつーの」


ちょこんっとソファーに座ってモグモグいちごを食べ始めた七瀬。


「甘い~?それ」

「うん。めっちゃ甘いし美味しい」

「そうかよ」

「食べる?」


俺にいちごを差し出してきた七瀬。

こいつ、無自覚で“あ~ん”とか誰にでもやるタイプだな……とか思いつつ、パクッといちごを食べた。


「甘ぇな」

「こんな甘いの初めて食べた」

「ま、1万するだけはあんな」

「こんな大きくて甘くて美味しいなら、妥当っちゃ妥当かぁ。この1箱で1万ねぇ……あたしには手が出せないや」

「何言ってんの?お前」

「え?」

「これ“1粒1万”な?」


俺がそう言うと、いちごの箱を持っている七瀬の手がガタガタ震え始めた。


「あ、あの……吐き出します」


プルプル震えながら俺を見ている七瀬。本当に吐き出しかねないからな、この女は。


「やめろ、吐くな。遠慮なく全部食え」

「あたしの体に今、数万円が流れている……」

「大袈裟かよ」

「これであたしの価値が上がった」

「お前、それ自分で言ってて虚しくねえの?」

「純粋に喜ぶべきことでしょ」

「いや、もうお前の思考回路よく分かんねーわ」

「それ、こっちのセリフ」