俺様御曹司は逃がさない

「撤回してください」

「なにを?」

「九条のサーバントであるあたしの話と、うちの両親の話……全く関係ないですよね。というか、うちの両親を馬鹿にするのはやめてください。あたしが馬鹿にする分にはいいけど、赤の他人に侮辱される筋合いもなければ、アレコレ言われる筋合いもない。いや、父のことはどうぞ馬鹿にしてやって。あれはマジで救いようのない馬鹿だから。でも……母のことは撤回して。あたしのお母さんは……純粋に愛する人の為に頑張ってるだけなの。あなたみたいに人を貶して、愚弄して、お金で何でもかんでも解決しようとする人には分からないでしょうね。あの九条でさえ、そんなこと言わないと思うわ。九条のクズさの方が幾分マシだと思わせてくれて、どうもありがとうございます。しばらく何かと我慢できそうですわ。ていうか、散々あなたが馬鹿にしている女を選んだのは、紛れもなくあなたの息子さんですけど何か?」


バンッ!!と壊れそうな勢いでドアが開いて、ズカズカと入ってきたのは言うまでもなく九条 柊弥。


「テメェ……」

「え、はっ!ちょっ……九条っ!?それ、あんたのお父さん!!」


テンパりすぎて、当たり前のことを言っているあたし。

あろうことか父親の胸ぐらをガン掴みして、今にも殺っちゃいそうな目をしている九条。

これは、ヤバくないか……?