俺様御曹司は逃がさない

とても冷めた瞳であたしを見下すように見ている。


「あの……」


何を言えばいい?

拒絶するような瞳であたしを見ている人に、なんて言えばいいわけ?


「ワシが連れてきた」

「父さんが?」

「ああ」

「……入りなさい。体調を崩されても迷惑だ。そんなはしたない格好をして」

「す、すみません……」

「ならワシは寝る」

「え!?ちょっ……!!」


ススッと消えていったおじいちゃん。


「お帰りなさい……って、あらっ!!舞ちゃん!?」

「あの、すみません……こんな時間に」

「あらあら、そんな寒そうな格好をして……早く上がりなさい」


いや、ぶっちゃけ真夏だし、そこまで寒くはないんだけど。むしろ丁度いいくらい。

そして何より、仕事から帰ってた夫よりあたしを優先にするのはやめてください。死ぬほど気まずいです。ほら、九条のお父さんポツンッとしちゃってるじゃん!!


「和美」

「ん?なに?」

「七瀬さんと2人で話がしたい」

「ダメよ」
 
「なに?」

「だってあなた、余計ことしか言わないでしょ」

「なんだと?」

「なによ」


待って、待って、待って!!

バチバチするのはやめてくれない!?