俺様御曹司は逃がさない

「避けられんだろう、いつまでも」

「いやっ、あの……こんな時間に挨拶って非常識でしかないような……。また日を改めましてっ……」

「クソ孫が会わせるわけなかろう。あいつが居らんうちに顔くらい出しておけ。隼人もぼちぼち帰ってくる頃合いだろ」

「い、いやぁ……やっぱり時間帯がぁ……」

「気にせんでいい。ワシが居る」

「は、はあ……」


もういい……どうとでもなれ。


九条家に着いて、正面玄関前には既に車が停まっていた。

その後ろに停車する。

前の車から降りてきたのは……一目で分かった。

あれが九条の……お父さんだ。

九条ってお母さん似かな?って思ってたけど、お父さん似かもしれない。

だって、そっくりだもん。

歳を重ねたら九条もあんな感じなんだろうなって、普通に想像できちゃうもんな。

にしても、夫婦揃ってルックス抜群ってやつですか。そりゃルックス抜群お化けが出来上がるわけですね。なっとく納得。

車から降りる九条のお祖父ちゃんに遅れぬよう、あたしも慌てて車から降りた。


「隼人」

「父さん……」


あたしを姿を見るなり目を細めた九条のお父さん。


「その子は?」

「聞かんでも分かっておるだろ」

「……何故、君がここに?」