俺様御曹司は逃がさない

何となく聞き覚えのある声がして、声がした方へ振り向くと……。


「乗れ」

「……あ、あの時の!!」


公園で出会ったおじいちゃん!!(不審者)


「さっさと乗らんか」

「……すみません、無理です。知らない人の車には乗れません」

「何を言っておる。……ん?おぬし、柊弥に何も聞いておらんのか?」

「え?柊弥……?」


高級車……おじいちゃん……柊弥……まさか……!?


「この御方は九条財閥 会長 九条 邦一様です。もうお分かりでしょうが、この御方は柊弥様のお祖父様であらせられます。私は邦一様のお付き 長谷川と申します。以後、お見知りおきを……では、どうぞ。お乗りください」


“貴女に拒否権など無い”と言わんばかりに後部座席のドアを開けている長谷川さん。
 

「は、はい……」


あたしが乗ると満足そうに車を発進させた。

・・・・何がなんだかよく分かんないんだけど。

公園で会ったおじいちゃんが九条のお祖父ちゃんで、その後たまたまあたしと九条が出会って、マスターとサーバントの関係になって……で?これまた偶然おじいちゃんと再会って?


「九条家の……“呪い”……?」

「何か言ったか?」

「いっ、いえ……何も」