俺様御曹司は逃がさない

「いててっ」

「へぇ。君、格闘技やってる感じ?」

「まぁ、多少。なのであたしに絡まない方が得策かと」

「面白いね」

「なっ……!?」


・・・・ヤバい。この男、格闘技経験者だ。


がっしりホールディングされて、間接を締められているから動けない。


「悪いね。俺も経験者なの……君、結構良い体してるね」


そう言いながらあたしの太腿や腹部に手を這わせる男。

めちゃくちゃ気持ち悪い。


「今すぐ離して」

「ははっ。強気だね~?嫌いじゃないけど」

「気持ち悪い。やめて」

「君が泣き叫ぶ姿を想像するだけで興奮するよ」

「やめて!!離して!!」

「こらこら、大声出さないよ~」

「嫌っ!!離して!!」


嫌……こんな奴らにあたしの処女を奪われるとか嫌。

こわい、怖い、コワイ。


「嫌っ、嫌っ!!誰かっ、誰か助けっ……!?んんっ!!」


嫌だ、怖い、誰か助けて。


────── 九条。


口を塞がれて、そのままホテルに連れ込まれそうになった時だった。

後ろへグッと引っ張られて、そのままスポッと包み込まれる。


これが誰なのか、見なくても聞かなくても、あたしには分かった。