俺様御曹司は逃がさない

あたしは家を飛び出して、がむしゃらに走った。

間違ったことを言ったつもりはない。でも、言ってはいけないことを言ってしまったのは分かっている。

それでももう、我慢ができなかった。


「……っ、なんでこうなっちゃうの……っ」


涙を流しながら宛もなく、ただただ走った。


「はぁっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ……」


─────── 気が付くと、夜の繁華街……と言うより、ホテル街に迷い込んでいた。


「どこ……ここ」


財布はないけどスマホはあるから何とかなる。

スマホを取り出そうとした時だった。


「どうしたの?君」

「あらら、泣いてた?」

「高校生?こんな時間にこんな所うろついてるなんて、イケナイ子だね~」


・・・・しまった。今の格好ヤバいかも……短パンにタンクトップとか部屋着すぎる。


「すみません。迷っただけなので……」


どうしよう……問題事は避けたい。


「慰めてあげよっか」

「おいで?悪いようにはしないから」

「イイことたくさんシてあげる」


男3人に囲まれて、1人の男があたしの腕を掴んだ。

反射的にその手を振りほどいて、間接技を極めてしまった。

体術強化訓練が役に立ってる。