俺様御曹司は逃がさない

テーブルを囲うようにお父さん、お母さん、拓人、あたしが座っている。


「単刀直入に言う。2000万の借金ができた」


────── は?


「でもね?お父さんは悪くないの」


────── いや、何が?何が悪くないの?


「いやぁ、見事に騙されちゃってな~?運が悪かった!うまい話にはやっぱ裏があるってやつだ!!でな、『一括で払え!!』ってヤバい奴にタカられてた時に、たまたま柊弥君に会ってな?柊弥君が話をつけてくれたんだよ!!で、柊弥君が肩代わりしてくれるって言ったんだけどよ、舞の裏で俺とコソコソすんのは嫌だからって、ちゃんと舞の了承を得てからにしてくれってよ。本当にいい男だよな~」

「柊弥君に肩代わりして貰うって話になれば、肩代わりして貰う分はもちろん返済していくわ。お母さんもうちょっとパート増やすから」

「……いや、ちょっと待ってください。それはさすがにどうなんすかね。舞の友達?に金借りるのは……」

「いや、むしろ『僕を頼ってください』って言ってくれてんだよ、柊弥君が。そりゃ俺だって気が引けたぜ?でもよ、2000万なんてどう足掻いたって何ともなんねーんだよ」

「ま、まぁ……そうっすけど」