俺様御曹司は逃がさない

次の授業は乗馬と弓道で、九条が居ないあたしが行く必要はない。


「ここの掃除でもしておきなさい。貧乏人って得意でしょ?掃除」

「ちょっと凛ちゃん。そういう言い方は良くないよ?ごめんね、舞ちゃん」

「いえ」

「くれぐれも何かを割ったり、余計なことはしないように」

「もぉ、上杉君まで……ごめんね?舞ちゃん」

「いえ」

「はい、これ」


宗次郎に手渡されたのは……割烹着。


「それ着て掃除したら?似合うんじゃない?七瀬さん」


お前はしれっと便乗すんなぁぁーー!!


「こらっ、宗次郎君!!ごめん、舞ちゃん」

「はは。いえ、お気になさらず」


割烹着をガッチガチに丸めて、宗次郎にぶん投げた。

あたしは“お金のため、お金のため”と自身に暗示をかけながら、片付けやら掃除をしていると戻って来て欲しくなかった人が戻ってきた。

相変わらずガッチガチに包帯を巻かれている左手。


・・・・あの、抜糸は……?


「お帰りなさいませ」

「うい~」

「で、どうでしたか?」

「ん~?どうもこうもまだ全っ然~」

「全然とは?」

「全然」


“これ以上の説明はしねえよ?”的な顔であたしを見ている九条。