俺様御曹司は逃がさない

ガシャンッ!!


「と……柊弥っ……!?」


柊弥は躊躇することなく、瓶の大きな破片を左手で握り締めた。


「はぁっ、はぁっ……はぁぁ。で、何が目的だ」

「ご、ごめんなっ……」

「言い訳なんざ聞きたくねえ。簡潔にまとめろ」

「と、柊弥っ……て、手がっ!!」

「何べんも言わせんな。簡潔に理由を述べろっつってんの」

「今、家が……ママが……不安定になって……」

「ああ、そういうことね」


柊弥が察しがいい、怖いほどに。

『ああ、そういうことね』は、これ以上言わなくていいと言われているようなもの。


「今回は許してやる。二度はない」


そう言うと出ていった柊弥。


「ごめんなさいっ……ありがとう……っ」


柊弥は優しい。

心のどこかで、もしかして……と安心していた部分がある。

一度仲間だと認めた相手を簡単に切り捨てるような、そんな薄情な人じゃないってことを分かっていたから。

そんな優しい柊弥に、私は取り返しのつかないことをしてしまった。舞ちゃんにも。

私は乱れた制服のまま、割れた瓶を拾って血を拭いた。

どう償えばいいのか分からない。

その後、蓮君と宗次郎君が来て、上杉君と凛ちゃんが来て、今回の経緯を話すことになった。