俺様御曹司は逃がさない

「何もしてねーから、あれ」


なに、もうなんなの!?してようがしてまいが、もうなんだっていい!!


「は?もういいって、なんでも!!早くしないと死んじゃうっ!!」

「はぁぁ……この程度で死ぬわけないだろ。大袈裟だっつーの、お前」


震える手で必死に止血しようとするも、カッターシャツが真っ赤に染まっていくだけ。

すると、フワッと優しくあたしを包み込んむ九条。

あたたかくて、とても安心する九条の匂い。でも、その中に咲良ちゃんの香水の匂いが混ざってて、この状況に罪悪感を感じる。

この人は、咲良ちゃんのもの。

人様の彼氏様に抱き締められてるなんて、本来あってはらないでしょ。

あたし、そういうの無理だ。


「九条……ごめん。あたし……」


離れようとしても、離してくれない。

強くギュッと抱き締められるだけ。


「……っ。んだよ、逃げんな。面倒くせぇ」

「逃げるとか、逃げないとかじゃなくて」

「お前さ、俺から逃げられるとでも思ってんの?そう思ってんなら、そのおめでたい脳ミソ取り替えて来い」

「だから……そういうことじゃなくてっ……」

「はぁっ……はぁっ……咲良とはマジで何もしてねえし、咲良とはカレカノ~とかそういうのでもねーわ。見当違いな勘違いすんじゃねーよ」