俺様御曹司は逃がさない

ガチャッ。

あろうことか、あたしが使っている個室に何者かが入ってきた。


「え、ちょっ、あの、使ってます……よ」


ドアの方に顔を向けると、額にダラダラと汗を流して、呼吸が乱れている九条の姿。


「はぁっ、はぁっ、はぁっ……ああ、しんどっ」


何かがおかしい。

あの九条がこんなにも汗を流して、息切れを起こすほど呼吸が乱れているなんて。

何気なく視線を落とすと、左手からポタッ……ポタッ……と濃い血が垂れている。

あたしはバッ!と勢いよくベッドから飛び起きた。


「くっ、九条……手、手、手っ!!なに?へ!?手!!手っ!!血、血!!なんで、ちょっ、どうしたのそれ!!」


テンパりすぎてカッターシャツをおもむろに脱ぎ、ドタバタしながらベッドから降りて、カッターシャツを九条の手に当てた。


「なっ、なにこれ……ど、どうしたの?」


人からこんなにも血が出ているところを見たことがなくて、止まりそうもない出血が怖くて、声も体も情けないくらい震える。


「は、早く病院行こ……く、九条……早く病院っ……」

「……ったく、逃げんなよ」

「なに……っ、何言ってるの……?は、早くっ……」