俺様御曹司は逃がさない

コンコンッ。


「失礼します。九条様、どうか暗殺だけは勘弁……して……」


あたしの視界に入ってきたのは、大きくて広いベッドの上で乱れた制服姿の咲良ちゃんと、上半身裸の九条が咲良ちゃんに跨がっている絵図。

“キャー!!”とか“ハレンチー!!”とか“恥ずかしいー!!”とか、そんなうぶでもなければ、乙女な心を持ち合わせているわけもない。

普段のあたしなら他人のアレコレを見てしまおうが、“あ、すみませーん。お邪魔しました~”くらいのノリで済む……済むはずなのに。

2人のこの光景が受け止めきれなくて、理由は分からないけど、血の気がどんどん引いていく。


────── 胃が気持ち悪い。


「はぁっ、はぁっ……っ。おい……はぁっ、七瀬」


息が上がって、なによりこういう雰囲気特有の色っぽい瞳をして、あたしを見て名前を呼んだ九条。

そんな瞳であたしを見ないで。

気付いた時にはVIPルームを飛び出して、ただ宛もなく走っていた。


「──── い。おい、舞!!」


大きな声で名前を呼ばれてハッとすると、宗次郎に腕を掴まれていた。


「顔色悪すぎ。どうした?」

「……い、いや……なんでも……ない」

「医務室行くぞ。血の気無さすぎたって」

「あ、うん。ごめん……ありがとう」