俺様御曹司は逃がさない

散々浴びせられた言葉。

周りは都合が悪くなると居なくなり、ほとぼりが冷めた頃に戻って来る。


「あんなこと言うなんて酷いね」

「私はそんなこと思ってないよ?」


じゃあ、なんでお前らは俺の傍から離れた?

所詮そんなもん。

手を差し伸べる奴も、寄り添おうとする奴も居ない。

ま、そんな奴……別に要らねーけど。


「上杉家の恥さらし」


物陰から聞こえてきた言葉。

・・・・すると、俺の隣から聞こえてきたのは……。


「さっきからゴニョゴニョと雑音が聞こえてくるんだけど、言いたいことがあるならもっと近くで喋ってくんないかしらー。陰でしかボソボソと喋れない奴の方がよっっぽど恥さらしだと思いますけどねー」


凛として堂々した佇まいに、“何も恥じることなんて一切ないよ”……と、俺に言っているようだった。

初めてだった。

立ち向かっていく奴が。

居なくなるどころか、“かかって来いよ”と言わんばかりなこの女に、ぶっちゃけ言葉を失ったし引いた。

こいつ、マジでどんな神経してんだ?

こんな女、俺に落とせんのか?

──── いや、分かってただろ……最初っから。

あの人が選んだ女だぞ?

俺があの人に敵うはずもないことも、その人が選んだ“唯一無二”の女に敵うはずがないってことも……分かってただろうが。

・・・・七瀬 舞は……別格だ。