俺様御曹司は逃がさない

「お前、マジで隙だらけ」

「え、あ……す、すみません」

「あいつに心許しすぎじゃね?」

「いや、別にそういうことじゃっ……」

「ダメだっつってんだろ」


今にも噛み付きそうな勢いの九条。


「ていうかっ、理由もなくそんなこと言われても困る!!」

「あ?逆に聞くけど、俺が理由もなく警戒しろ……とか言うとでも思ってんの?」

「理由を言ってくんなきゃ分かんないじゃん!!」

「馬鹿なお前でも薄々勘づいてんだろ。宗次郎は上杉のことを目の敵にしてる。何をしでかすか分からん」


──── この時、あたしは思ってしまった。


咲良ちゃんが一時帰国をしていなければ、そもそも宗次郎がサーバントになることもなかった……ということは、この一連は“たまたま”なのか、“仕組まれた”ことなのか……それすら疑問に変わっていく。

九条は男である宗次郎を全面的に疑って、女である……いや、“許嫁”である咲良ちゃんには一切の疑いは無し。というわけか。

ことの発端はすべて咲良ちゃんなんじゃ……て、いやいや。さすがに深く考えすぎだよね。どう考えても咲良ちゃんが悪い人とは思えない。

あたしにも気を遣ってくれて、優しくしてくれる。


「……多分、宗次郎君があたしに直接何かをしてくることはないと思う」

「は?」