俺様御曹司は逃がさない

「はいはい、落ち着けって」

「落ち着いてられるかぁぁー!!」

「おら、行くぞ」

「え?え!?ちょっ……!?」


・・・・安定の肩担ぎ。どんな馬鹿力してんのよ、こいつ。

そして、第3グランドやらに到着したのはいいんだけど、どう見ても何も間に合っていない。

めちゃくちゃ注目の的だし。


「七瀬 舞。私は時間厳守と言ったはずですが?」


眼鏡をカチッと上に上げながら、鋭い眼光をあたしへ向けてくる上杉先輩。


「すみません」

「即刻立ち去れ」


マイク越しの声は、酷く冷たいものだった。


「悪いね~、上杉。こいつ遅れたの俺のせいだから許してやって~」

「ですが九条様っ……」

「この俺が許してやってくれって言ってんだけど。上杉……お前、俺の声聞こえてねえの?」


会場の空気がピンッと張りつめて、全員が緊張しているのが伝わってくる。


「九条様がそう仰るならいいのでは?九条様の意見に反対する者など、この学園には居ないのですから」


上杉先輩の隣に立っている前田先輩が、淡々としながらそう言うと、眼鏡を押さえながらかなり不服そうな上杉先輩。


「次はないですよ、七瀬さん」

「申し訳ありません。ありがとうございます」

「んじゃ、俺は戻るわ~」

「九条様……あの、ありがとうございました」

「べっつに~。たっぷり礼してもらうから気にすんな~」