俺様御曹司は逃がさない

────── あっという間に時刻は夕方。


「余ったな。舞持ってく?」

「持ってく」

「律辺りが『お土産よろしくね』とか言ってるでしょ」

「ご名答」

「ははっ。だよな~。ちょい待ち、なんか容器持って来るわ」

「すまんな」

「いや、言い方よ」


容器を取りに行った拓人。

すると、背後からフワッと香る九条の匂い。

あ、ヤバい……そう思った時にはもう遅かった。

ガバッと後ろから覆い被さるように、あたしへ体重をかけてくる九条。


「……重っ」


ていうか、マジで距離感!!


「仲良さげだねー。お前ら」

「はあ?」

「佐伯君だよ、さえきくーーん」

「はあ、そりゃ幼馴染みだもん。あんただって蓮様達と仲良いじゃん。それと変わんないでしょ」

「……そうかぁ?んじゃ、ただの幼馴染みってこと?」


拓人とは“ただの幼馴染み”というより、兄妹……家族に近いっぽいのはあるかも……?

ま、でも……余計なこと言ってこれ以上、九条と拓人の謎なバチバチが悪化しても困る。


「ま、まぁ、そうね」

「ふ~ん」

「……ていうか、重いってば」

「あ?俺のあまりのイケメンさにっ……」

「違う。物理的に重いって言ってんの」