俺様御曹司は逃がさない

・・・・何様なの、あんた。死ぬほど“俺様御曹司”になってますけど。


「そうですか。で、降ろしてくれない?」

「送ってってやるよ」

「はい?」

「俺って優しいよなぁ、ほんっと」

「誰も頼んでないんですけど」

「んで、そのバーベキューとやらは何処でやるわけ~?」


貴様、人の話を聞けよ。


「いや、だからっ……」

「送ってってやる。何べんも同じこと言わせんな~」  


ニコッと笑っているけど、瞳の奥が全く笑ってないパターンのやつね。


「あーーはい。もう勝手に送ってってください」

「クソ生意気だな。で、場所は?」

「拓人ん家」

「……は?」

「もうすぐそこ」

「は?」

「あ、霧島さん停めて」


キィッとブレーキ音がして停車した車。


「ここなんで。ありがとうございました。さようなら」


ドアノブに手を掛けてた瞬間、首襟をガシッと掴まれて、後ろにグイッと引っ張られた。


「んぐっ……!?」


次の瞬間、首元にチクッとした痛みが走った。


「痛っ!!」


何が起きたのか分かんないけど、多分九条が何かをしたに違いない。

だって、九条があたしの首元に顔埋めてたもん!!

針か何かを射して、あたしを殺そうとしたんじゃないでしょうね……!?


「ちょ、何すんのよ!!」

「あ?虫除け」

「虫除け……?」

「そう。虫除け」