俺様御曹司は逃がさない

「関係あるから言ってんだろ!!」


その声に驚いてビクンッと肩を上げるあたし。

九条の怒鳴り声が車内に響いて、怒鳴った本人でさえ何故か驚いている様子。


「……な、なによ急に。ビックリしたぁ……」

「……ああ、悪い。なんつーか、声の出が凄まじく良かったわ」


・・・・いや、意味分かん。


「ま、まぁ……何でもいいけど。で、あんたはあたしに何をどう言ってほしいわけ?」

「あ?」

「正直に言えば降ろしてくれるの?」

「は?内容によりけりでしょ、んなもん」


もう降ろす気ないじゃん、こいつ。


「はぁぁ。友達とバーベキューするの」

「はぁん?友達ぃ?」

「うん」

「どこのどいつだよ」

「中学の!!」

「……あーー、あの女二人組か~」

「その言い方やめて」


心なしか九条の機嫌が良くなったような気がする。なんなの、マジで……。


「で、他は?」

「幼馴染み」

「あ?」


また不機嫌になった九条。どんだけ情緒不安定なのよ、あんたは。


「拓人」

「んなこと分かってんだよ。いちいち名前呼ぶな、鬱陶しい。俺、あいつ嫌いなんだよねぇ」

「は、はあ……」

「なんつーか、庶民の分際で俺に楯突くあの感じ。マジで癪に障るよねー」