俺様御曹司は逃がさない

「あの、あたしマジで予定があるんですけど」

「そうですか」

「ねえ、霧島さん」

「はい」

「なんであたしの隣いる男、全く喋んないんですか」

「ご本人に聞かれてみては?」


無駄に長い脚を組んで、無駄に長い腕も組み、無駄に整った横顔をあたしに向けている九条。

ずーーっと無言で窓の外を眺めている。

拉致っといて無言とかヤメろ、マジでヤメろ。文句の1つや2つや3つや4つや5つや……言わせろ!!


「ちょっと、なんで拉致った張本人のあんたが黙りこくってんのよ。いい加減にしてくれない?」

「なんなの?お前」


・・・・いや、だから……それはこっちのセリフだってのーー!!


「もぉ……なんなの!?あんた!!」

「お前さ、この俺を差し置いてドコのダレに会おうとしてるわけ?あ?さっさと答えろよ」


めちゃくちゃ仏頂面を引っ提げて、あたしをジロッと見てくる九条。


「どこの誰って……あんたに関係ある?それ」

「あ?生意気な口利いてんじゃねーぞ」

「は?何をそんな怒ってるわけ?」

「怒ってねーよ、別に」

「怒ってんじゃん」

「怒ってねえ」

「別にあたしがドコのダレと会ってようが何しようが、あんたには関係ないでしょ?降ろして」