俺様御曹司は逃がさない

後部座席の窓がウィーンッと開いて、その向こうに居たのは……。


「何してんの、お前」


いや、それはこっちのセリフなんですけど。


「見て分かんない?出掛けるの」

「あ?」

「は?」

「どーせ暇だろ、お前」

「いや、耳つんぼなの?」

「あ?」

「だから、今から出掛けるのあたし」

「はあ?暇だろ、どう考えても」


いや、暇なのはあんたの方でしょ。


「ていうか、何しに来たのあんた」

「あ?」

「は?」


さっきから何、このやり取り。


「どーせ暇だろ?相手してやるよ」

「いえ、結構です。では、さようなら」


ビュンッと走って逃げた……けど、そりゃ車に勝てるはずもなく、九条に捕まって無理やり車内に突っ込まれた。


「お前、俺から逃げられるとでも思ってんの?」

「そとそもなんで追って来るのよ、あんた」


あたしがそう言うと、スンッとした顔をして顔を逸らした九条。

車内には沈黙が流れていた。

いや、マジでなんなの?これ。


「これ、誘拐じゃないですか?霧島さん」

「さぁ、どうでしょう」

「訴えますよ」

「九条を敵に回す覚悟がおありなら」


・・・・だぁぁーー!!!!