こいつの言いなりになんてなりたくないけど、背に腹は代えられない。


「……分かった。わかったから2人を離して」

「なら、交渉成立ってことで~。おい、ソイツらもう離していいよ~」


梨花と美玖が解放されたと同時にあたしも解放された。


「舞!!」

「舞ちゃん!!」

「梨花、美玖!!」


あたし達はぎゅっと抱き合った。……美玖、小刻みに震えてる。きっと怖かったんだろうな。なのに、あたしのために勇気を出してくれたって……そう思うと胸が痛む。


「舞ちゃんがヤバい男達に絡まれてるって聞いて……」

「もぉーー、マジで焦ったわ……」

「美玖……梨花……ごめん。ありがとう」

「ええ~?つーか俺、不審者扱いされてる感じ~?」


・・・・は?それ以外の何者でもないでしょ。どう考えても“不審者”でしかない。


「「ああーー!!!!」」


あたしの耳元で突然大きな声を出した美玖と梨花。


「ちょっ、うるさっ!!」

「舞ちゃん舞ちゃんっ!!」

「ねぇ!!どこで知り合ったわけ!?」


何故か興奮状態の2人。あたしは何がなんだか分からなくてちんぷんかんぷん状態。


「え、なに?急に」

「舞ちゃん知らないの!?」

「……あ。舞スマホ持ってないし、テレビもろくに見ないでしょ。そりゃ知らなくてもおかしくはないかも」

「え?なんのこと?」


そんなことを話していると、笑いながらあたし達に近付いてきた“見てくれだけはいい”不審者。