俺様御曹司は逃がさない

・・・・全てが成り行きではあった。

元々スペックの高い俺は、邦一さんが用意したプログラムをみっちり難なくクリアして、3ヶ月経つ頃に九条家へ招かれた。

噂には聞いていた九条財閥。

あのプログラムで普通ではないとは思ってたが……金持ちレベルが規格外だと思い知らされた。

・・・・『孫をくれてやる』ということは、『孫を守れ』と言っているようなもん。

拳銃、刀、ありとあらゆる武術や護身術……それだけじゃない。サーバー系はもちろん、何もかも余すことなく全てを叩き込まれた。


────── さぁ、俺にここまで叩き込ませた男の孫とやらは、どんなガキんちょなのかね。


案内された和室にポツンと突っ立っていたのは、5歳児とは思えないほど整った容姿をして、堂々と佇んでいた。


「はじめまして、霧島と申します。本日付で柊弥様のお付きをっ……」

「ジジイから話は聞いてる。死んでも守れ、俺のことを。で、俺の命令は絶対だ。俺の言う通りに動けばそれでいい。それが霧島……お前の“役目”だ」


────── こいつ、本当に5歳児か?

クソ生意気じゃねーかよ、マジでうぜー。


・・・・でも、不思議と嫌ではなかった。