「えっと、九条だっけ?あたし、あなたに興味も無ければ、相手をしている時間も無いわけ。だから、もういいかな?急いでんのよ」

「お前さ、マジで女なの?」

「……はい?」

「こんなイケメンに言い寄られたら普通は靡くでしょ。ヤバくない?お前。女として終わってんじゃね?」


“やれやれ”とジェスチャーしながら、呆れ返った顔であたしを見ている九条。

あたしは顔面をピクピクひきつらせながら、何とか笑みを浮かべている。


「はははー。あたし、クズそうな男には靡かない体質なんでー。ごめんなさいねー」

「あ?クズって誰に言ってんのー?」

「あなたしか居ないよねー」


にらみ合いが続いて、あたしは確信した。


────── 九条 柊弥……こいつとは絶っ対に合わない!!



「……くくっ。いいね、お前。やっぱ面白いわ」

「ちょっ!?」


腕を掴まれて引っ張られると、あれよこれよという間に車に乗せられてしまった。


・・・・拉致ですか?


もう、なんなの?

これは夢?夢だよね?悪夢すぎない?

悪夢以外の何ものでもないわ……夢であってくれ。

ねぇ、夢ならさっさと覚めてよ。お願いだからぁぁ!!