俺様御曹司は逃がさない

「というより、“霧島に戻せ!”って九条に言わせたい感満載でしたよ。あたしがあいつの機嫌取りをどんだけしてきたことやら……という感じです。いい加減にしてくんないとストレスでハゲる」

「それはそれは……誠に申し訳ございません。では、私は九条家に戻りますのでお送りします」

「いや、1人で帰れますのでお気遣いなく」

「いえ、このタイミングでもし万が一、七瀬様に何かがあったら、私が柊弥様に抹消されてしまいます。精神的にも物理的にも」


・・・・死ぬほど真顔な霧島さんに、何も言えなくなったのは言うまでもない。


「なら、お願いします」

「表に車を回しますので、少々お待ちください」

「はい」


外で待っていると大きなSUVがあたしの前に停まった。

ウィーンッと窓が開く。


「どうぞ。前でも後ろでも」

「じゃあ……」


後ろのドアノブに手を掛けた……その時だった。


「舞っ!!」


名前を呼ばれた方に振り向くと、そこに居たのは自転車に乗った拓人だった。


「え、拓人?」

「おまっ、何してんの!?」

「何って……車に乗ろうとしてる」

「知らない人について行っては!?」

「いけません」

「分かってんなら乗んな!!」


いや、どんなやり取りよ。

すると、車から降りてきた霧島さん。