俺様御曹司は逃がさない

「いや、分かってるとは思うけどここ1階ね。ベランダから飛び降りてもワンチャン足挫く程度でしょ」

「あの、空気読んでくれません?」

「あ、ごめんごめん」

「で、どうします?あたしが居なくなってもいいんですか?」

「いやいや、いいわけがないでしょ……困るって、君が居ないと」

「だったらあたしの言うことを聞いて」


一歩も引かないあたしに、もう素が出まくっている霧島さん。煙草を吹かしながら困った表情を浮かべている。


「……ひとつだけ条件がある」

「条件……ですか?」

「うん」

「なんですか。条件って」


灰皿に煙草を押し当てて火を消すと、真剣な顔をしながらあたしの目の前まで来た霧島さん。


「柊弥のことよろしくね」

「……へ?」

「これが条件」

「え、あ、え?それは一体どういう意味っ……」

「柊弥には君しかいないってこと」


・・・・・・いや、満面の笑みでそんなこと言われてもさっぱり分からん。

ま、サーバントとして責務を全うしろ……という意味合いだよね?おそらく。


「が、がんばります」

「はぁー。あと1ヶ月くらい休みたかったわ~」

「あたしが持ちません」

「ハハッ。榎本さんクセ強いでしょ」