俺様御曹司は逃がさない

家を出て、小走りで目的地まで向かった。


「ここ……で合ってるよね?」


位置情報通りに来て、辿り着いたのは普通のアパートだった。本当に普通すぎるアパート。ぶっちゃけ家賃の安そうなアパート。

ま、ボロボロの家に住んでいるあたしが言えた立場ではないけど。

九条のお母さんから追加で送れてきたメッセージには《302号室》と書いてあった。


「302……302……ここだ」


本当に失礼なのは重々承知なんだけど、本当にこのアパートにあの霧島さんが居るの……?

だって霧島さん……めちゃくちゃいい給料貰ってるでしょ、どう考えても。

それに霧島さんって住み込みだよね?

・・・・あ、住み込みだから……か。納得。

疑問を自己完結させて、インターフォンに手を伸ばした。


ピンポーン。


ちょっと緊張するなぁ。


「はぁぁい」


ガチャッと玄関のドアが開いて出てきたのは……。


────── え?……誰?


とってもラフな格好をしている巨乳のお姉さんが出てきた。

いや、もうラフっていうか……ほぼ下着みたいなもん。


「あら、その制服……」

「おい。勝手に出んじゃねーよ」


そう言いながら出てきたのは……上半身裸の色気全開な霧島さんだった。